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infected dream

idream.exblog.jp

手紙

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このところ、何人かの方から、お手紙を戴いた。ライブの感想や、アーティストの方からCDを送って頂いたり、CDを購入戴いた方からのお手紙とか。これまで、手紙と言えば請求書か広告ばかりだったのに...。少し不思議な感じ。

メールでも、十分に気持は伝わってくる。が、丁寧に綴られた文字からは、その方の誠実さが伝わってきたり書いている時の、心の揺れをも感じることが出来る。そして、自分の心も揺れる。そして、手紙を書いて下さっている状況を想像する時、そのことに使って下さったその時間を愛おしく感じる。少し、センチメンタルすぎるのでしょうかね。

話が反するようだけど、今日1通の外国の方からメールを戴いた。
311メモリ−ズについての記事を見て、何故かリンクの張られていないそのサイトを探しそこで聞いた音楽を好きなって、題名を知りたいとのこと。題名は「記憶の桜」とお伝えした。春になったら是非、ライブで演奏して下さい、きっと素敵だと思いますと、言って下さった。

曲がひとり歩きをして、誰かの時間の中で生きていることを知る時、そういう人がたった一人でもいるなら、僕は音楽を続けて行けるなあ。とそんなふうに思った穏やかな夜でした。
# by kkkr | 2013-02-14 03:26 | 日常の中の特別

16th Media Arts Festival

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音楽を担当した作品。
以前お知らせしましたが、文化庁メディア芸術祭での審査委員会推薦作品に選ばれた東京スカイツリータウンキャンパスと、 3.11メモリーズ

明日2/13からメディア芸術祭が新東京美術館にて開催されます。ここでは、タウンキャンパスの一部分しか体験出来ませんが(残念ながら音楽も)、多くの興味深い作品に囲まれ楽しめるので近くに行かれた際にはお立ち寄り下さい。(無料)

あ!作品「音めがね」で参加した、ミッドタウンの21_21 Design sightの、デザイン「あ」展と、はしごも良いかもしれません。是非!
# by kkkr | 2013-02-12 23:06 | アート

デザイン「あ」展

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本日から始まった『デザインあ』展。ここのひとつの作品、『音めがね』(takram) にて音楽を担当しました。不思議で楽しい作品です。是非見にいらして下さい。
# by kkkr | 2013-02-08 22:02 | アート

『太陽が生まれ変わる頃』

 そろそろ、おやすみの時間。1年ほど前から、僕の寝床は、スタジオの階段を上がった場所、天井がすぐ傍にあって、天窓から少し空が見える。昨日は月の明かりがベッドの隅を照らしていた。暖かい空気は上に上がるから、夏はとんでもなく暑いのだけれど、冬は暖かい。

 iPadに、Star walkという夜空をガイドしてくれるアプリがある。その中のギャラリーに星雲の中をどんどん進んで行く事が出来るビデオがある。ちょっと頭の回転を鈍くしてやれば、まるで、宇宙の中を一人浮遊しているように感じる。昨夜は、ふと、『ああ、人は死んだら宇宙のどこかに行くのかもしれない。』と、ありきたりではあるけれど思った。時間というのは複雑で、今、地球上で確認できる光は、何億光年の距離の星の光を見ているということだし、その何億年前の命の灯火、もしかするともう存在しない星の光が今ここに届いているという訳だ。それは、幻ではなく、確かにここに届く光で、つまり命のかけら。『人は死ぬと、お星様になる』などという少しこっぱづかしい、ロマンチックなフレーズがあるが、『命とは星の光のようなもの』という感覚がそういう言い回しを生んだのかもしれない。

 先に行ってしまった友人達のひとり、bice。彼女の不在の実感は、不思議なことに時が経つほどに大きくなって来る。作品を聞けば、そこに、また彼女の命が再現される。何億光年も離れたところにいようとも、目の前に彼女の命が蘇る。悲しみだけではなく、そこに慈しみという言葉がふさわしいかのようなものを感じる。

 彼女の最後のアルバム『かなえられない恋のために』がiTunesで発売されていた。
https://itunes.apple.com/jp/album/kanaerarenai-liannotameni/id285242812
僕は、8曲目『太陽が生まれ変わる頃』でギターを弾いている。レコーディングの日に、僕のスタジオに来ると言ってたけれど、『忙しくて行けないからやっといて』という信頼されているのか、なんなのかわからないメッセージとデータを受け取る。ギターを弾いて送り返した。久々に、一緒に作品を創るということで、楽しみにしていた僕は、少々へそを曲げる。

 その後、出来上がったCDが送られて来た。作品を一通り聞きながら、クレジットみたところ、名前が間違っていた。ああ。レコーディング時に少しへそを曲げていた僕は、冷たい口調で、「名前間違えてるんだけど?」てな具合で、電話を。きっと彼女は、そんな僕の声にビビったのだろう。「わ、私じゃないもん!私、ちゃんと伝えたもん」と返事。今から、考えると、子供っぽくて可愛い。(笑)『ごめーん』という言葉を期待して、それだけで何事もなかったことに、次の話題へと移す事を予定していた僕は、逆にさらにへそを2回転くらい曲げられてしまって、確か、一言二言話したあと電話を切ってしまった。それが彼女との最後の会話。

 僕は、彼女のことを、女性の中で唯一、一生ミュージシャンとして関わって行くだろうなと思ってた人だった。きっと、お互いに爺さん、婆さんになっても、しょうがねーなー、とか言いながら時々、一緒に音楽をやっている仲だと思っていた。そのくらいのことなどは、またそのうち何事もなかったように、にんまりとしながら音を出す事で未来を創っていくと信じていた。

 最後の会話が、あんなだったことは後悔していない。また、会わなきゃ行けない理由になった。そして、『この太陽が、生まれ変わる頃、偶然会えたら..』という彼女は歌う。

 

 
# by kkkr | 2013-01-30 01:27 | 日常の中の特別

残雪の夜、想うこと。

 キツツキが窓をつつく音。目を覚ますと、バルコニーに残る雪にオレンジ色の朝日が射していた昨日の朝。

 一日一日が、言葉通り矢のごとく、そして確実にひとつづつ過去の記憶へと変わって行く。ある時は、目の前のことに夢中になり、あるときは、未来の為の準備に費やされ、ある時は生きて行く上で避けられないことへと時間が費やされる。どんな時間だって、濃密にこの五感を使って内と外との辻褄を合わせながら感じそして動いている。 ぼーっとしている時だって、ぼーっとしているその行為にどっぷりだ。

 仕事とは、求められていることが明確で、その要望に応えること、期待以上のものを差し出すことで喜ばれ、それはまた自分の喜びへと変わる。仕事が与えられる時点で、相手から自分を必要とされているという前提があり、その期待へと応えるべく胸を膨らませる。

 12日、下北沢にて、2つのイベントに一人で参加した。全くタイプの違うパフォーマンスを計画。モナレコードでのライブは、ギター、声、ピアノ、フロアタム、コントラバス、を用意し、エフェクトを加えた即興演奏を。そして、夜は、アコースティックギター一本で、歌と向き合うことを。2つのステージを終えて、ミュージシャンとしてではなく、アーティストとしてステージに立つことを、改めて考えることになった。(ミュージシャンであっても、アーティストであるとは限らない)

 僕にとっては、自分のステージは、お金を戴こうが、貰えまいが仕事ではない。会場にまで、足を運んでくれる人達は、また、偶然そこに居合わせた人達は、明確な要望、要求があって来てくれるのではない。むしろ想定外のこと、ミラクル、漠然と、なにか非日常的な時間を期待して足を運んでくれている。入場料はある意味、お布施のようなもの。神聖なもの。それを受け取る側のアーティストも托鉢を受ける僧侶のようなもの。今回の2つのライブを通して、前提として誰も求めていないこと、ある意味自分のエゴの部分を表現する上で、どういうふうにこれからミラクルを起こして、非日常を体験し、共有してもらえることが出来るのか、さらに真剣に考え繊細に感じることへの契機になった。正直なところ、ccoでのライブの後、もう、職業音楽家としてだけでやって行こうかと言う思いが頭をかすめるほどだった。が、朝日とともに、また、あの根拠のない自信は帰って来た。

 そう、モナレコードでのこと。アーティストのお二人、鈴木さんと、kyoooさんに興味津々でステージを楽しみにしていた。が、2日間で、3時間の睡眠しかとれていなかった僕は、ずっとは立っていられず、途中から扉を半分開けた楽屋のソファに座り、適度にフィルターされた音に身を任せるようにしていた。kyoooさんのピアニシモな歌声とギターの音は、弱々しいがゆえの強さをもってステージ一番奥の、僕の特等席まで響いていた。下北沢の雑踏の音、換気扇の音、だれかの話声。全てが音楽の一部に変わっていた。最後から2曲目の曲だったと思う。突然、彼女のギターと歌に絡み付くように、バイオリンの音が聞こえて来た。かなりエキセントリックで美しいアレンジ。誰かが弾いているのかと、飛び出たが、誰も弾いてはいなかった。彼女の音楽は、水墨画のようだと思った。

そう、昨日は、阪神淡路大震災の日。
癒えることのない悲しみを抱いている人の上に、新たな幸いが降り注いでいますように。
# by kkkr | 2013-01-18 03:18 | 日常の中の特別