Auroraeが発売されたのが、91年。僕が、Forlife から 井上鑑 氏プロデュースでOWL(アウル)というバンドでデビューした年。
これから始まる音楽人生への期待と、責任のようなものを感じピリリとした気分で、少しずつ歩み始めた年。
音楽シーンには、芸術性溢れるアーティストが元気で、僕は、むさぼる様に新しいものを聞いていた。ほとんどが、洋楽だったのだけれど、dip in the pool/Auroraelは、邦楽で買った数少ないCD。大阪梅田のWAVEで購入したことを覚えている。ポップであり、スタイリッシュであり、刺激的ではあるけれど、とげとげしていないその品の良さ、そのスタイル。アーティストにも、音楽にも憧れを抱く作品でした。
そんなこともあって、14年ぶりの新譜。期待をしつつ、しかし、期待し過ぎても...という気持に揺れながら。
1曲目のイントロ、数秒で、懐疑心や、期待や、いろんな思考は一瞬にしてどっかへ行ってしまい。ただただ、音の海の上に浮かんでた。
dip in the pool的普遍性が、言わば母の愛のようにそこにあって、懐かしくもあり自然な形の”今”がここにある。いろんなことがあり世界は変わったかもしれない。が、大丈夫、大切なものは失っていない。そして、新しい世界は、一秒一秒、更新されている。そんな安心感と至福感と共に、静かに涙が体中を流れる。