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infected dream

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夏の終わりに

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30日大阪Pangeaでのライブを最後に、MaiaHirasawaとAndersとのこの夏のツアーを終えた。ステージに出る前に、Maiaが、このツアー最後ね。いっぱい楽しみましょうって言った。そして、3人で、ひとつひとつの曲を慈しむように感じながら、ひとつひとつ音を落としていったように思う。

 一夜明けた、8月の最後の日、ホテルを出て神戸に向かった。チョコレート色の電車に乗って、御影(みかげ)という駅で下りる。(神功皇后がこの里の泉に、姿を写した故事によりこの里は「御影」となる。)山の斜面にある駅を下りると、震災の後、整備された駅前。様子は随分違うけれど、見上げた六甲の中腹には、相変わらず、甲南病院が見え、駅からは、海の空が広がり、これが僕の神戸だと改めて思う。夏の最後を生き切るように蝉が鳴く道を5分ほど歩くと、御影"北"小学校。僕が、2年3年の時に行った小学校は、もっと海に近いところにある御影小学校。その頃は、御影北小学校には行ったことがなくて、どんな学校なんだろうと思っていた。
 この斜面に立つ小学校の裏にある墓地に、祖父母の墓がある。六甲の山の緑はまだ鮮やかで、海には港にある赤いリフト(あのキリンのような)と大きな橋が見える。墓守のおばさんは、相変わらずおしゃべりで、のんきな小言を神戸弁で話す。そうですかあ、たいへんですねえ。うなづきながら、バケツと酌を用意する。墓石が太陽を受けてじりじりとする中、いつも、どこにあるのか迷いながら、墓を見つけて、「はいはい、きたでえ。」って関西弁にリセットされたモードで、祖父母に話しかける。
 墓参りの後、いつものように、近くにある神社へ。弓弦羽(ゆづるは)神社。昔、ここの木の幹に、手裏剣(しゅりけん)がささっているのを友人と見つけたが、今はもうない。あれは、幻だったのだろうか。

 墓参りと、神社参りを終えて、京都へ向かう。学生時代に毎日乗った、阪急京都線に乗り、市場河原町から、バスに乗る。

目的は、平安神宮の裏にある、La Voiture (ラ ヴァチュール)というお店のタルトタタン。

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レコーディングに来られた方から噂を聞いて、是非、このお店で食べてみたかったのだ。ここのタルトタタンは、フランスで表彰されたことのある今もご健在のおばちゃん、ゆりえさんの味を受け継ぐお孫さんが作っているというタルトタタン。お店には、このゆりえさんのリザーブ席があって、ここで新聞を読みながら、時々お客さんに声をかけていらっしゃる。その佇まいが、素敵だった。
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日が、西の山に近づく頃、銀閣寺まで、バスへ。お寺には行かず、哲学の道沿いを歩く。たくさんの猫達に話かけたり、はたまた石に絵を描いて売りつけるおじさんにうまく丸め込まれても、幸せに思える日。この日は、なにもかも、偶然の巡り合わせが、見方してくれるような幸せな日、PerfectDay のようだった。
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いや、本当は、友人が数日前に亡くなったという悲報があった。電話を切った瞬間に感情がふわっと溢れて、涙が溢れた。でも、次の瞬間に思った。生きている僕には、今を濃密に感じて生きること、目の前にあること、人を慈しむこと。感じること。それこそが、弔いでもあり、今自分に必要なことだと。この夕日に沈む街並は、生きていることへ不思議さや美しさを感じ、そんな気持へと変えてくれた。

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by kkkr | 2011-09-03 01:40 |
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