
東のバルコニーのジャスミンが咲いた。
この季節、朝、窓を開けると、ジャスミンの香りが部屋を包む。
ジャスミンティーや、芳香剤でのあの香りよりもっともっと優しくて、奥ゆかしい香り。
知らぬ間に、身体や心をリラックスさせてくれているように思う。
5月という月は、こんなに素敵な季節だっただろうか。
今年は、緑や、花の色がいつもより鮮やかに感じる。
寒い春が続いて、桜の季節が長かったせいなのだろうか。
一斉に、植物達が喜んでいるのでしょうか。
5年前の5月。僕は仕事で、もう帰るところのない神戸に帰っていた。
墓参りやら、旧友に会ったり、懐かしい場所を巡ったり、神戸でやり残したことを全てやり尽くすかのように2日間の時間を使った。そして、新幹線に乗るまでの少しの時間で、ふと思い出した人。6歳まで一緒に過ごした父親のこと。104で聞いたらあっけなく知る事の出来た電話へかけた。心は少しも緊張していなかった。そして、2週間前に亡くなったことを知った。主のいなくなった部屋を訪問した時、そこにあった多くのジャズのレコード、カメラ、ステレオ....僕の音楽への道はこの人からのものだったことを実感した。僕の人生に多くの喜びを与えてくれる音楽を与えてくれたことに感謝した。
あれから、もう5年なのか....
けれども、僕には、本当の父親がいる。中学になった時に母が再婚した人。
こころの底から、その人が、本当の父親だと思う。幸せ者だ。
血が繋がっていなくとも、身体と身体を、心と心を寄せ合って生きてくれた人。あの人が本当の父親。
そして、今日、17日は、その父親の誕生日。たしか、65歳。仕事で、会いには行けないけれども、父が母に出会ったことに、そして、子供のいる母の側にいることを決心してくれたことに、母を罵倒した僕に一度だけ手を振り上げてくれたことに、たくさんの愛を注いでくれたことに、心から感謝している。
父は今月で、退職する。お疲れさま。そしてありがとうと言いたい。
きっと、このブログは知らない。でも、想いは届く。
ジャスミンの香りのように何気なく届くといいな。