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infected dream

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密の味

紫色のツツジは、春雨に朝によく似合う。

 ヨガクラスのある小学校後の校舎は、僕が7歳の時に転校していったあの神戸の小学校と似ている。学校なんて、きっと文部省が決めた規格通りに建てられるものだから似ているのは当然かもしれないが、あの頃の感覚がふと蘇って、何十年も前のことなのに、一瞬あの頃と意識が交差した。
 ヨガの教室は、家庭科室を改造し、フローリングにしてあるだけのシンプルさで迎えてくれる。雨の日の湿った教室。雨に濡れたスニーカーが、きゅっきゅと音をたてて、廊下に響く。
 マットの上に座ってクラスが始まるのを待つ。雨に濡れた服のまま1時間目が始まるのを、湿った机の上の傷を撫でながら、いつもと変わらぬはずの外を眺めて先生が来るのを待ったあの頃を思い出して顔がほつれた。

 小学校2年で、ませガキだった僕には好きな女子がいた。(女子とは、あの頃の言い方だ)岡田さん。岡田さんの家は、学校から、僕の家と反対の方向にある石屋川という小さな、けれども水流の早い川の向こうにあった。ある日、僕は岡田さんのお家に遊びに行った。大きなお家で、気後れしたのを覚えている。母屋に入って庭に出るとそこに小さなプレハブの岡田さんの部屋があった。部屋の中に入ったのかどうかは、よく覚えていない。覚えているのは、庭の芝生が眩しかったこと。そして、もうひとつ。帰り際に、岡田さんの兄、多分小学校高学年のくそガキ!岡田さんのうちに飼っていた大きな犬を、僕に向かってけしかけた。動物を飼ったことがなかった僕は、自分と同じくらい、もしくは、それ以上(に感じた)大きなその犬に心の中で怯えた。が、しかし、ここは男だ。大好きな岡田さんの前で、怖がるわけにいかない。やせ我慢をして踏ん張って、怖くなんかないさと冷静を装った。岡田さんは、兄に向かって、やめるように言ってたように思う。つまり、やせ我慢は、ばれていたのだ。兄は、おもしろがって、綱を弾きながらぎりぎりまで近寄せる。そして、とうとう、その犬が僕に飛びかかった。今から思うと、飛びついて顔を舐めたのだと思う。が、その恐怖に僕は、耐えられず、うわあああ、といって後ろ向いて走って逃げてしまった。くそガキの笑い声と犬の吠える音を後ろに感じながら。大好きな岡田さんは、僕の逃げる姿を見て笑ってたのだろうか。心配してくれてたのだろうか。どちらにしても、僕は、失恋してしまったのだ。切なかった。その後のことは覚えていない。
 
 ヨガクラスが終わった後、校舎を後にし、校門まで行くと、水浸しだった。山用の靴を履いていたから、ジャバジャバと入って行った。黄色い長靴のあの時と同じだ。学校の外の歩道に、紫のツツジが鮮やかに咲いていた。思わず花を近づけて匂いを嗅いだ。あの頃の様に、花を取って蜜を吸おうか。いやいや、後ろには、クラスで一緒だった人達が歩いている。蜜の味は覚えている。

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火曜は、ライブ。
仕上がり具合は、上々。
メンバー紹介を...
ドラマー、神谷君!
僕は、ウーリッツァというエレピとギターを...。


渋谷7th floor
4/28(tue)
hajimeinoue presents “Layered”
hajimeinoue and motion flow band /
the primerose
DJ:白石隆之 / sinsen
open 20:00/start 20:00
adv ¥2000/door ¥2500[1d別]
http://shibuya-7thfloor.blogspot.com/
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by kkkr | 2009-04-26 04:32

資生堂マキアージュ On Air!

音楽を担当させてもらった、資生堂マキアージュ(蛯原友里さん)のCMが流れ始めているようです。

 この曲は、一昨年、岡北有由さんがロンドンから一時帰国の時に、録音した曲。長い時間を経て、めでたく世に出ることになりました。彼女がロンドンに行ってから早や4年半。あっと言う間ですが、元気にあちらでもかなり活動的に、アーティスティックにやっているようです。

 しかし、このCMのえびちゃんこと蛯原友里さんは美しいですね。
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by kkkr | 2009-04-22 23:13

流れに身をまかせて

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ロンドンにいた頃、テイト美術館によく行った。
美術館の中の、ラファエル前派の部屋へ。
まるで、恋人に会うように、胸を踊らせて。
教科書や、印刷物で見ていたそれらの絵は、僕にとっては限りなく興味のない種類の美術だったが、実際にそれらの絵の前に初めて立った時、背筋に走るあの特別の感覚を感じた。

特に、僕が見とれてしまったのは、ベアータベアトリクス。
目を閉じ、祈る彼女は、まるで生きているようで、僕は遠い昔に描かれたその女性に恋するような気持ちにさえなった。

もうひとつは、ミレーのオフィーリア。
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これは、シェークスピアのハムレットに登場する悲劇の女性を描いたもの。
花輪を枝にかけようとして、溺れて川に流されて行く。
あの絵の意味を知らないで見た僕は、両手を広げ川に流されて行く彼女の姿と表情は、幸福に満ちたもののように感じた。命を落す瞬間に愛する人を思い、運命の流れに身を任せた美しい女性。

この日記を書きながら、思い出したことがある。 もう20年も前になるだろうか。
祖母の死について。彼女は、祖父と二人暮らしだった。糖尿病を煩い、白内障の手術を受け、目も悪く目が大きく見える大きな眼鏡をかけていた。祖父母の家には、階段の途中に棚があった。祖母は、そこにあるなにかを取ろうとして、足を踏み外し階下へ落ちる間に頭を強く打ったらしい。見つけたのは、祖父。祖父は、物書きでその日は、講演かなにかで出かけていた。玄関のチャイムを鳴らすといつも迎えに出ていた祖母が出てこなかった。祖父は扉を自ら開けて、目の前にもうすでに息のなくなった祖母を見つけた。祖父は、まだぬくもりの残る祖母を強く抱いた。

情景は、オフィーリアの絵ように、美しくはない。小さな古い家の玄関での出来事だ。きっと、あっと言う間の出来事だったと思う。祖母は、亡くなる瞬間に何を思っただろう。死を聞いて、駆けつけた僕が見た彼女の顔は、とても美しかった。祖母は、こんなに美しい顔だったのだと驚いた。
 きっと、最初に見つけてくれるのは、祖父だということを思ったに違いない。祖父が、しっかりと抱きかかえてくれることを待ちわび、そして確信していたに違いない。その運命を受け入れたんだと思う。

老いていく父母は、なんでもないことのように自分達の死期について言う。あと、5年?10年? なんてね。そして、僕自身も、冗談めかして、あと20年は、すねかじらせてよなどと。

1年に一瞬だけ、一枚の葉もないその枝から突如として花を咲かせて、1週間程で、雪のように花びらを降らせる桜。あと、何度、僕の愛する人は、こんなに美しい春を見るのだろう。あと、何度、僕は愛する人達と、この桜を眺めることができるのだろう。桜は、胸の奥に、小さく震えるほどの幸せと悲しみではない哀しみを置いてゆく。

いつか、自分にその瞬間が訪れた時、流れに身を任せてオフィーリアのように、そして祖母のように、その瞬間を受け入れることができたらと思う。

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by kkkr | 2009-04-18 05:01

春夢心地

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庭に、神田川沿いに...あの池の周りに、街の至る所に春の色添えをくれた桜。
今週に入って、歓びの涙のように風に吹かれて落ちる。
生きる歓びと、切なさや儚さをこの幾日かの間に見せてくれるよう。
昨年より、一昨年より、さらに美しく感じるのは僕だけだろうか。

このところ、この電気ピアノに夢中。
指に伝わってくる弱々しいハンマーの感触と、
暖かいトレモロのかかった真空管で暖められた音が部屋の空気を振るわせる。
頭の中心から真上に向かう空洞。思考は、雲のようにその空間のある高さで漂っている。その向こうの先の光のあるところへと導いてくれるような音だ。友人の楽器でしばらくの間しかここにいない。1曲でも、この楽器で曲を創りたいと思う。


the primrose ライブが決まりました。
今回は、月球、Sworn Groupなどで活躍する神谷洵平君(DRUM)と二人で。

渋谷7th floor
4/28(tue)
hajimeinoue presents “Layered”
hajimeinoue and motion flow band /
the primerose
DJ:白石隆之 / sinsen
open 20:00/start 20:00
adv ¥2000/door ¥2500[1d別]
http://shibuya-7thfloor.blogspot.com/

PIC 1 and 3 by m.a.segull
2 by Keiji
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by kkkr | 2009-04-09 02:50