感覚が鋭敏過ぎて、繊細過ぎて、僕らが普通だと思っている生活ができず、困難の中にいる僕にとって大切な人が二人いる。
衣食住すべてにおいて科学物質にアレルギー反応が出てしまう彼ら。
着れるものを探すために、お店でひとつひとつの服の匂いを嗅ぐ。一度、他の店へ行き、また戻って来て、悩む。店員には、変な奴だとマークされる。
一時は洞穴に住みたいとさえ思ったらしい。きっと、そんな苦労は氷山の一角だっただろう。想像して、目頭が熱くなった。
そして、もう一人は、僕が聞いたなにげない『外国は、どこかにいったことがある?』という質問に『飛行機に乗れなくて...。いっぱい行きたいところがあっていつか行くのが夢』って答えた。胸を打たれて何も言えなかった。
ゆっくり鎌倉の海を見ながら話した。
しばらく話していなかったけれど、彼は変わっていなかった。
どこまでも、ピュアで優しい人だった。三日月が出ていた。
楽しかったな...。
きっと
僕らが正常で、彼らが特異なのではない。
僕たちが、鈍感なのかもしれない。
都会の中で生きている僕らは、必要なのかもしれないが、
感じないふりをしているだけなんじゃないだろうか。
いつか、ちゃんと直視しなきゃならないことから目を背けているんじゃないだろうか。彼らは、先に行って警告を発してくれているのではないかな。
彼らは、弱くて強い。
そして、優しい。
僕は、二人が大好き。
ありがとう。